ネントレ、いつから始める?最適なタイミングと始め方
ねんねトレーニング(ネントレ)*とは、お子さんをしっかりサポートしながら「寝る力」をつけていく練習のこと。ネントレに興味があるママ・パパも多いのではないでしょうか?
- 寝かしつけに時間がかかり、就寝が遅くなる
- 夜中に何度も起きてしまう
- 朝起きるのが早すぎる
これらの睡眠トラブルはお子さんの成長に良くないことはもちろん、保育者の睡眠にも影響を及ぼし、ご家庭全体のトラブルになりかねません。だからこそ、ネントレをして良質な睡眠を取れるようになることはご家庭全体がご機嫌に過ごすための近道なんです!
(*ねんねトレーニング(ネントレ)は医学論文で安全と効果が証明されています。)
目次
ネントレはいつから始める?
例えば離乳食は、「生後5ヶ月頃から」、「座る姿勢が安定してきたら」など、一般的に言われる“始めるべき月齢”がありますよね。実は、ネントレには、そのような目安の月齢はないんです!
では何をきっかけに・いつから始めれば良いのでしょうか?それはズバリ、お子さんの睡眠について、ママやパパ、保育者が悩んでいれば、ネントレ開始検討のサイン。
- 夜泣きする
- 全然お昼寝しない
- 授乳しないと・抱っこしていないと寝られない など
ご家庭によって気になるタイミングや悩みはさまざまですが、睡眠の乱れの兆候を感じたらネントレを視野に入れてみることをオススメします。
ネントレを始める前に
では、「ネントレ、取り入れてみたい!」と心を決めたら、早速ネントレを始めてOKか?というと、答えはNOです。ネントレは急がば回れ!成功の秘訣は、ネントレを始める前の下準備。本章ではネントレを始める前にやっていただきたいことをご紹介します。
理想的な睡眠時間を把握する
お子さんに必要十分な睡眠時間は把握できていますか?ゴール=目標とする睡眠時間や目的が定まらないままの見切り発車は禁物です。
月齢に応じて一日の睡眠時間の目安があるので、まずは
- 現状と目安の時間の差があるのか
- 差がある場合はどの程度のギャップなのか
を把握することから始めましょう。
例えば、生後10ヶ月のお子さんで夜中何度も起きるけど細切れの寝ている時間を足せば目安の睡眠時間程度にはなる、というケース。この場合は「寝られる時間を増やす」必要はなくても夜の睡眠の質の改善は必要です。成長ホルモンが分泌される夜間に「続けて寝られるようにしてあげる」ためのトレーニングをしてあげると良いでしょう。
起床時間と就寝時間を決める
起床時間と就寝時間が日々バラバラになっていませんか?お子さんがぐっすり寝られているからと、朝起こすのをためらってしまったり、その日の機嫌によって寝る時間がまちまちだったりする場合は、ネントレ前に起床時間と就寝時間を決めましょう。
ネントレは、生活リズムを整えるプロセスとも言えます。まだ生活リズムが整っていないお子さんは「起きる時間」「寝る時間」を知りません。ママやパパ、保育者がそれを示してあげることが大切。目安の睡眠時間とご家庭のスケジュールを踏まえて、起床時間・就寝時間は固定してあげてください。
寝る前のルーティンを決める
寝るまでにすることと、その流れを定型化してあげることは、お子さんにとって大きな安心材料に。習慣として定着すればするほど、その流れが始まると自然と寝ることに気持ちが向き、心身ともに眠る準備ができるようになるからです。
このように、寝る前に毎日同じことを同じ順番で繰り返す行動のことを「ねんねルーティン」と呼びます。月齢別のおすすめねんねルーティンはこちらにまとめていますが、特別なことは何も必要ありません!
ご家庭で普段、寝る前に必ずやるようなこと、例えば、絵本を読む、授乳をする、おむつを替えるなどの行動を毎日必ず・決まった順序で行うだけです。ポイントは、寝る前に子どもをしっかりとリラックスさせ安心してもらうこと。
今はまだルーティンがないというご家庭でも大丈夫!ぜひ今日からねんねルーティンを決めて、続けていきましょう。
寝室の環境を整える
具体的には以下の4つのポイントを確認して下さい。
①安全
寝床の安全性は、ネントレする・しないに関わらず、必要なこと。
- 寝返りやずりばいによって転落してしまうような段差がないか
- 窒息のリスクとなる掛け布団・ブランケットなどは使っていないか
この2点は必ず確認するようにして下さい。
赤ちゃんの寝床は、ベビーベッドでも子ども用布団でもどちらでもOK。ちなみに、米国小児科学会は「赤ちゃんにとっていちばん安全な寝床は、1歳までは親と同室で別の寝床」と伝えています。
②光
昼と夜の区別がついてきた赤ちゃん(生後3ヶ月以降が目安)は、日中も真っ暗な部屋で寝かせましょう。
部屋に光が入ってきていると、脳が「起きていてもいい!」と反応してしまいます。眠くてもなかなか眠りにつけない、早朝起きなどのねんねトラブルを引き起こす原因となる場合も。カーテンを閉めていたとしても、お子さんの表情が分かる程度の暗さでは万全とは言えません。遮光カーテンをつける・遮光シートを使うなどして、真っ暗にしてみてくださいね。
③音
お子さんが生活音や屋外の車の音で起きてしまっていると感じたら、以下のようなぐっすりノイズを使って音の壁を作り、落ち着かせてあげるのも効果的。
- ホワイトノイズ(換気扇がまわる際のゴーゴーという音など)
- 水が流れる音
- 波やせせらぎ、風などの自然の音
寝かしつけから朝起きるまで、連続して同じ音を鳴らしておきましょう。ホワイトノイズを再生できる専用の機械のほか、スマートフォンのアプリを使っても良いでしょう。
④温度・湿度
寝室の温度は、大人が肌寒く感じるくらい(20〜22℃)、湿度は40〜60%が最適。空調だけでなく、寝る時の服装での温度調節も大切です。①でお伝えしたとおり、寒いからといって掛け布団やブランケットは安全面でNG。肌着やパジャマやロンパースの着せ方で調整し、掛け物ではなく、おくるみをしたり、スリーパーを着せると良いでしょう。
おくるみやスリーパーはねんねルーティンにも取り入れられて、一石二鳥。決まった服装やスリーパーに着替えることが、お子さんの気持ちを眠りに向かわせる一つの鍵になりますよ!
ネントレの具体的な方法とヒント
ネントレの方法は複数あり、それぞれメリット・デメリットが異なるので、それらを踏まえて、ご家庭の考えやお子さんとの相性を見極めて一番合うものを選んでいただきたいです。くれぐれも「みんなこれをやっているから」という理由で選ばないでくださいね!一例として、過去の投稿でお伝えした複数のネントレ方法の中から、日本のご家庭にも取り入れやすい最もシンプルな方法、「タイムメソッド」をご紹介します。
タイムメソッドとは、寝るまで見守るタイプのネントレ方法の一種で、部屋の外で見守り、泣き止まない場合のみ、決められた時間の間隔で部屋に入り、決められた時間だけあやすことを、寝るまで繰り返す方法です。部屋の外での待機時間の間隔や入室時間のルールなど、詳しい内容はこちらの投稿や書籍でご確認ください!
本章ではタイムメソッド実践時はもちろん、どのネントレメソッドにも共通する、ネントレ成功のための取り組みのヒントをお伝えします。
ネントレ中も真っ暗な寝室で
前章の「寝室の環境を整える」でもお伝えしたとおり、ネントレ中に寝室の中の様子が気になったとしても常夜灯を付けて就寝したり、入室時に一時的に灯りをつけたりするのはNG!せっかく整えた環境です。しっかり真っ暗に保ちましょう。
お子さんの様子が気になる場合は、足元をうっすら照らすナイトライトを使用してもよいでしょう。使用する場合は、寝る時から朝起きるまで、灯はつけたままにします。また、暗闇でも室内の様子が分かるベビーモニターが便利です。
対応には“一貫性”を持って
例えば、ネントレ前のねんねルーティンやタイムメソッドの待機する時間・入室時間のルールなど、決めた内容を一貫して行うことが大切です。お子さんは、はじめてのことに戸惑いつつも、ママやパパ、保育者の一貫した対応によって新しい習慣を身につけていきます。
そこで、「泣いているから」「上手くいかないから」などを理由に対応を変えてしまうと、お子さんは混乱してしまい、せっかくのネントレも水の泡です。お子さんにとって一生モノの睡眠習慣を身につけるためにも、どうか、一貫性のある対応を心がけてくださいね!
保育者は強い意思でのぞむこと
ネントレ開始直後は特に、今までと異なる寝かしつけやママ・パパの見慣れない対応などお子さんはその変化に驚き、結果、反応が泣きやぐずりに現れる可能性があります。そこでネントレをこのまま続けて良いものか迷うことがあれば、ぜひ、ネントレを始めようと思ったきっかけや目的・理想の生活に立ち返ってみてください!
ネントレが停滞すると不安もつきものですが、どうか強い気持ちで、「家族みんながご機嫌に過ごしたい」、「こどもの健康と成長のためにぐっすり寝てほしい」などネントレ後のありたい姿を思って進んでいただきたいです。
まとめ
他にもさまざまなメソッド(ネントレ方法)があり、内容によっては「●ヶ月以上から」「●ヶ月頃に最適」など月齢の制約がありますが、始めるタイミングに早い・遅いはありません。ママやパパ、保育者の考えやお子様の特性、居住環境、生活スタイルなど、ご家庭に合った方法を選べばOKです。
大切なのは、ネントレを始めるにあたっての下準備。どんな方法選んでも・いつ始めても、このコラムの「ネントレを始める前に」でご紹介したお子さんに必要な睡眠量を把握することや睡眠環境を整えることがはじめの一歩です。これだけで、ママやパパの心持ちが変わったり、ねんね上手になるお子さんもいたりと、小さな一歩が大きなきっかけに。
まずはできることから始めてみてくださいね!
◆この記事の監修者◆
日本人初 乳幼児睡眠コンサルタント
愛波 あや
出産後、自身が長男の夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学を勉強し、日本人で初めて米国International Parenting & Health Instituteの乳幼児睡眠コンサルタント資格を取得。
現在は米国ニューヨークで二人の男の子を育てながら、日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして日本人向けに講演や執筆、出版など幅広く活動。著書に「ママと赤ちゃんのぐっすり本」(講談社、2018年)と「マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方」(主婦の友社、2021年)がある。
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