新生児のママパパのよくあるお困りごとに、「赤ちゃんが泣き止まないこと」が挙げられます。赤ちゃんの泣き声が苦手で、お子さんが泣きだすと「早く泣き止ませなければ…!」と焦ってしまうママパパもいるでしょう。
赤ちゃんにとって泣くことはコミュニケーションの手段であり、決してママパパを困らせるためではありません。赤ちゃんが泣く時には、何かしら訴えたいことがある場合がほとんどです。本稿では、赤ちゃんはどんなことを訴えて泣いているのか、また、それぞれの訴えに対してどう対処してあげると良いのかをお伝えします。
目次
新生児が泣き止まない原因
赤ちゃんが泣いてしまう原因の種類はいくつか考えられ、場合によっては複合的な理由で泣いていることもあるため、特に最初のうちは原因を特定するのに時間がかかってしまうかもしれません。それでも色々な可能性を考えて一つずつ確認していくことで、泣きの根本原因に辿り着くことができるようになってくるはずです。
不快感があるため
一口に不快感と言っても様々なケースが考えられますが、ここでは特に生理的な不快感にフォーカスしてお話します。
予備知識として既にご存知の方も多いかと思いますが、赤ちゃんは体温調節機能が未熟です。そして、どちらかというと暑さに適応するのが苦手と言われています。また、一度泣きだしてしまうと赤ちゃんの体温はどんどん上昇してしまうので、当初は別のことを訴えて泣いていたものの、次第に暑さの不快感がプラスされる、といったことも起こり得ます。
もう1点よくあるのは、排泄に伴う不快感です。おむつの汚れはもちろん、便秘気味でお腹が張って苦しいということも考えられます。
疲れているため
赤ちゃんがご機嫌に起きていられる時間=「活動時間」は思いのほか短く、個人差はありますが新生児の目安は40分です。大人であれば疲れたことを自覚し、休息を取るところ、赤ちゃんは疲れたからといって一人で眠ることがまだ難しい状況です。また、赤ちゃんは疲れ過ぎてしまうと、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰分泌し、過度な興奮状態になり、ますます眠れなくなってしまうのです。この状況を回避するには、赤ちゃんが疲れ過ぎる前に寝かしつけを始めることが効果的です。
うまく寝付けずに泣いていると思われる場合は、あわせて「泣いている理由がわからないとき」の投稿も参考にしてみてください。
お腹が空いているため
赤ちゃんが泣きだしたタイミングが前回の授乳からある程度時間が経っている場合、授乳を試すママパパも多いかと思います。そのため、授乳後も泣き続けていたり、前回の授乳からさほど時間が経っていないのに泣いていると授乳以外に原因を絞ってしまいがちですが、赤ちゃんがうまく飲めていなかったり、母乳の分泌が追いついていない場合は、飲み足りないと感じている可能性もあります。
体調が悪いため
生理的な不快感や睡眠欲、食欲などを見直しても尚、泣き続けている場合は体調不良の可能性もあります。顔色や体温のほか、皮膚の発疹なども確認してみるとよいでしょう。
泣き止まないときの対処法
前章では泣き止まない原因を4つの項目に分けてお伝えしました。本章では、それぞれの原因に対する具体的な対処法をご紹介します。繰り返しになりますが、赤ちゃんが泣いている原因は複合的であることも多いため、対処法も複数実践する必要があることもあります。
室温を下げる
窓を開けて換気をしたり、エアコンの設定温度を下げたりすることで、体温調節機能が未熟な赤ちゃんが苦手な暑さからくる不快感を和らげてあげましょう。元々の泣きの原因が暑さでない場合でも、泣き続けているうちに暑さの不快感が加わっていることもあります。
服やおむつを替える
既に一定時間泣き続けている場合、思っている以上に汗をかいているかもしれません。室温の調節に加え、頭や身体の汗を拭き、服を着替えてさっぱりさせてあげるのもよいでしょう。おむつが汚れている場合も交換してあげましょう。
抱っこする
疲れてしまったけれど、うまく気持ちを落ち着けられずにいる場合、抱っこをしてあげることで少し落ち着くこともあります。赤ちゃんによって抱っこの仕方にも好みがありますので、基本の横抱きのほか、しっかりと首・頭を支えた上で縦抱きも試してみてもよいでしょう。
疲れて泣いてしまっている場合は、赤ちゃんの顔をのぞき込んだり、抑揚のある声で話かけるよりも、赤ちゃんとは目を合わせないようにし、「大丈夫だよ、ママ(パパ)はここにいるよ」のような短い言葉を繰り返し、低めの声で呪文のように唱えるのがおすすめです。赤ちゃんへの刺激を減らし、落ち着きやすい環境をつくってあげましょう。また、長時間抱っこをしていると熱がこもりやすくなるので、適宜室温や服装を調節しましょう。
トントンする
抱っこに加え、おしりや背中などを手のひら全体でやさしくトントン叩いてあげると落ち着く赤ちゃんもいます。この時、胎内にいた頃に聞いていたママの鼓動を再現するイメージで1秒1回のペースを目安に、繰り返し一定のリズムで叩くのがおすすめです。
授乳する
暑さ同様、泣き出した当初の理由は空腹ではなかったけれど、泣いているうちにお腹も空いてきたということもあるので、授乳を試してみてもよいでしょう。泣くのをやめてお乳を飲むことで、お腹も満たされて落ち着いた、ということも起こり得ます。一方で、授乳しようとしてもいつものように興味を示さなかったり、飲みたそうにしていない場合は無理に勧めず、空腹以外の原因を探ってみましょう。
おくるみで包む
おくるみとは、新生児から寝返りの兆候が見られる以前の低月齢の赤ちゃんを包む布のことを言います。赤ちゃんの腕を布で包んであげることで、胎内にいた頃の姿勢を再現でき、赤ちゃんを安心させてあげることができるアイテムです。
「低月齢の寝かしつけ必需品!おくるみの巻き方と上手な付き合い方」の投稿でご紹介しているとおり、おくるみにはいくつか巻き方がありますが、実際にやってみると赤ちゃんが動いてしまったり、思いのほか時間がかかってしまったり、コツをつかむまでは何度か練習が必要と感じるママパパも多いものです。そこでわたしがより簡単に、誰でもしっかりとおくるみができるように開発したのがおくるみスリーパーです。ねんねの前におくるみをすることを繰り返していると、赤ちゃんが「おくるみをしたらねんねの時間」だとわかるようになり、入眠がスムーズになりますよ。
ぐっすりノイズを再生する
赤ちゃんを安心させてあげるには、胎内環境を再現する音を聞かせてあげることも効果的です。生後3ヶ月頃までは換気扇の音などに代表されるホワイトノイズがよいでしょう。赤ちゃんに安心して聞かせられる音源をお探しなら、わたしが監修した「ぐっすり安眠ノイズ集」をお試しください。全トラック、日本各地で録音した自然音で構成されていて、赤ちゃんはもちろん、大人の睡眠時や集中タイムにも適しています。
部屋を暗くする
眠たいけどうまく眠れなくて泣いてしまっている場合は、視覚からの刺激を減らしてあげることも効果的です。生後3ヶ月頃までは日中のねんねであればお部屋を真っ暗にする必要はありませんが、入眠に適した涼しくて暗い環境をつくってあげることで徐々に落ち着いてくるかもしれません。
あやす人を変える
赤ちゃんを泣き止ませようと長時間あやしていると、大人のほうも疲れてきて、場合によっては焦りやイライラの気持ちが湧いてくることもあるでしょう。赤ちゃんは感性が敏感なので、そんなイライラの気持ちが伝わってますます泣きがヒートアップするという悪循環も考えられます。ワンオペではなく、他に大人が近くにいる場合は一旦お世話を代わってもらうのも一案です。
初めての育児だとなおさら、張り切り過ぎて全て一人でできるようにならなければ!と頑張り過ぎてしまうママパパもいますが、育児は長期戦かつ体力勝負。頼れる時は頼って、自分自身のエネルギーを蓄えましょう!
病院を受診する
体調不良の兆候が見られたときは、かかりつけの小児科を受診することを検討しましょう。その際、いつからどんな症状があるかを医師に伝えられるように準備しておきましょう。日々の授乳・睡眠・排泄などのタイミングや赤ちゃんの様子を一定のフォーマットで継続的にログしておくと、問診がスムーズになり便利です。
泣き止まないときのNG行動
色々と試しても赤ちゃんが泣き止まないと先が見えず不安な気持ちになり、大人も感情的になってしまうものです。ただ、そんな時でも赤ちゃんに対して絶対してはいけないNG行動があります。赤ちゃんの未来や命に関わることですので、一緒にお世話している方にも是非共有してください。
強く揺さぶる
大人同士でも、感情的になった時に相手を強く揺さぶる動作はドラマなどでもよく描かれますが、赤ちゃんにこれをするのは絶対にNGです。赤ちゃんは首が座っていないことからもわかるように骨格が非常に柔らかく、同様に脳の中も脆くダメージを受けやすい状態です。そのため、強く揺さぶられると脳のまわりの血管や神経が容易に傷ついてしまい、重大な後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ってしまうこともあります。産院や両親学級などで教わった方もいるかもしれませんが、これを「乳幼児揺さぶられ症候群」と言います。
口を塞ぐ
赤ちゃんの泣き声を聞くのが苦痛だから、もしくは泣き声がご近所迷惑にならないようにと、赤ちゃんの口を手で塞いだり、顔をソファやクッションなどに押し付けるのも大変危険な行為です。新生児の心肺機能は未熟なため、思っている以上に簡単に窒息状態に陥ってしまいますので、絶対にやめましょう。
赤ちゃんが泣き止まなくて辛い時は、一度赤ちゃんを何も置いていないベビーベッドなど安全な場所に寝かせて、別室で気持ちを落ち着けましょう。また、日頃から一人で抱え込まず、苦しくなる前に助けを求められる先を持っておくのが理想的です。
まとめ
本稿では新生児の赤ちゃんが泣き止まない原因として考えられること、それぞれの原因に対する対処法、そして泣き止まない赤ちゃんにしてはいけないNG行動をお伝えしてきました。
- 赤ちゃんが泣き止まない原因としては以下4つをご紹介しました。
- 暑い・お腹が張るなど、生理的な不快感があるため
- 疲れているため
- 空腹
- 体調不良
対処法としては以下の10点を、時に複合的に実践する必要があることをお伝えしました。
- 室温を下げる
- 服やおむつを替える
- 抱っこする
- トントンする
- 授乳する
- おくるみで包む
- ぐっすりノイズを再生する
- 部屋を暗くする
- あやす人を変える
- 病院を受診する
赤ちゃんを揺さぶること、赤ちゃんの口を塞ぐことは、赤ちゃんの命に関わる行為です。絶対にしないようにしましょう。
お伝えしてきた情報が、日々精一杯赤ちゃんのお世話をしているママパパのお役に立つと嬉しく思います。どうか一人で抱え込まず、周りを頼りながら乗り越えてくださいね!
◆この記事の監修者◆
日本人初 乳幼児睡眠コンサルタント
愛波 あや
出産後、自身が長男の夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学を勉強し、日本人で初めて米国International Parenting & Health Instituteの乳幼児睡眠コンサルタント資格を取得。
現在は米国ニューヨークで二人の男の子を育てながら、日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして日本人向けに講演や執筆、出版など幅広く活動。著書に「ママと赤ちゃんのぐっすり本」(講談社、2018年)と「マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方」(主婦の友社、2021年)がある。
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