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低月齢の寝かしつけ必需品!おくるみの巻き方と上手な付き合い方

低月齢の寝かしつけ必需品!おくるみの巻き方と上手な付き合い方

 赤ちゃんを迎えるご家庭に、ねんねトラブル予防でまず試してもらいたいのが「赤ちゃんにおくるみをして寝てもらう」こと。おくるみは掛け物として使うのではなく、正しい方法で巻いて使用します。

おくるみをすることで、赤ちゃんが安心できる姿勢が保てたり、安全な寝床になったりと、おくるみは、赤ちゃんの睡眠環境を整える上でも重要なアイテムの一つなんです。(関連記事)寝かしつけの心強い味方、おくるみを上手に取り入れるために正しい巻き方・使用時に気をつけたいポイントをチェックしましょう!

 

おくるみとは

おくるみは新生児から、寝返りの兆候が見られる以前の低月齢の赤ちゃんを包む布のことを言います。赤ちゃんの腕を布で包んであげることで、胎内にいた頃の姿勢を再現でき、赤ちゃんを安心させてあげることができます。

 

おくるみの巻き方

おくるみの一般的な巻き方を3つご紹介します。

基本巻き

❶正方形のおくるみの上の角が中心に来るように折って五角形をつくります。

❷赤ちゃんを❶の中心に寝かせます。このとき、肩が出ないように頭だけおくるみから出る位置に調節してください。

❸赤ちゃんの右腕をわきに添わせまっすぐにして、体に密着するように置きます。

❹おくるみの左端を持ち、赤ちゃんの胸をくるむように持っていきます。この時、右腕が固定されているかを確認すること。余ったおくるみを赤ちゃんの体の下に入れ込み、しっかりとくるみます。

❺左腕をわきに添わせてまっすぐにして、おくるみの下の部分を持ち上げて、足から体にかけて包み込みます。両足は簡単に曲げられるように、股関節を動かせるようにしてください(股関節脱臼予防のため)。

❻おくるみが赤ちゃんの肩から、胸をおおって、Vネックの残り半分ができるように、折ります。

❼おくるみの右端を持ち上げて、赤ちゃんの左腕の上を通ってくるむように包み込みます。

❽余ったおくるみの端を赤ちゃんの体の前側に入れ込み、しっかりと固定します。

※イラスト出典:「ママと赤ちゃんのぐっすり本

 

おひな巻き

赤ちゃんを、ママのお腹の中にいたときのような、まるまった体勢で布でくるむ方法を「おひな巻き」と言います。「おひな巻き」という言葉は元々、とある企業が販売していたおくるみ用の布の製品名でしたが、今ではおくるみの巻き方の一種として一般的な言葉になっています。

❶長方形のおくるみを横長になるように置き、赤ちゃんの肩部分と布の上辺を合わせ、布の中央に赤ちゃんを寝かせます。このとき、赤ちゃんの肘をたたんで、脇をしめ、手があごの下にくるようにしておきましょう。

❷おくるみの左上の角を持ち、赤ちゃんを正面から見て右わき腹の下に布を挟むようにします。

❸反対側も同様に、おくるみの右上の角を持ち、赤ちゃんを正面から見て左わき腹の下に布を挟むようにします。布を重ねた部分から、手を出すようにしましょう。

❹赤ちゃんの膝を曲げ、「あぐら」の状態か足のうら同士をくっつけるような状態にし、おくるみの左下の角を、赤ちゃんを正面から見て右肩の方向へ持ち上げます。

❺反対側も同様に、おくるみの右下の角を、赤ちゃんを正面から見て左肩の方向へ持ち上げます。両肩に持ち上げたおくるみの角同士を、首の後ろに入れ込みます。

 

半ぐるみ

巻き方の手順は、最初にご紹介した「基本巻き」と同じ。赤ちゃんの腕を出した状態で基本巻きをするのが「半ぐるみ」です。

生後3〜4ヶ月以降は半ぐるみがおすすめ。手の動きが活発になり、首が座ってくる時期なので、赤ちゃんの動きを妨げないようにしてあげましょう。

新生児の頃から基本巻きやおひな巻きをしていて、急に半ぐるみに変えると、落ち着かなくなることもあるかもしれません。その場合は、片腕ずつ出してあげるようにして徐々に慣れさせると良いでしょう。

3つの方法をご紹介しましたが、巻き方のイメージはつきましたか?実際にやってみると、赤ちゃんが動いてしまったり、時間がかかってしまったり、コツをつかむまでは何度か練習が必要かもしれません。

そんな時は、より簡単に赤ちゃんを包み込むように設計されている着るタイプのおくるみ(スワドル)もおすすめです!一枚でいろいろ使える布タイプの便利さの一方で、誰でも簡単に着せるだけでおくるみの状態をつくれる手軽さも忙しいママ・パパ、保育者にとっては重要◎ご家庭に合ったもので、おくるみに挑戦してみてくださいね!

 

おくるみの巻き方で気を付けること

おくるみを巻く時・使用中に必ず気をつけていただきたいのが「安全性」。赤ちゃんにとって安全な状態になっているか、赤ちゃんの身体の発達に合わせた使い方ができているか、以下のポイントは必ず押さえておきましょう!

 

巻き方の加減

おくるみは、巻き方の加減に気をつけましょう。緩く巻いてしまうと、赤ちゃんのちょっとした動きから徐々にせっかく巻いたおくるみがほどけてしまいます。
おくるみは腕の部分はしっかりと巻き、股関節の部分は大人の手が入れられるくらいゆとりをもたせましょう。

ちなみに、前のセクションで着るタイプのおくるみとして紹介した「おくるみスリーパー」は、国際股関節異形成協会(IHDI)より「正しく使用することで正常な股関節の位置が保たれ、股関節異形成や脱臼を引き起こさない商品」として認証されています。


赤ちゃんの足が入る部分はゆったりとした袋状になっていて、赤ちゃんはその中で足を自由に動かすことができるため、赤ちゃんの骨折や股関節脱臼を防止できる作りになっているんです!

 

乳幼児突然死症候群(SIDS)

「乳幼児突然死症候群(SIDS)」とは、主に1歳未満の健康な赤ちゃんがある日突然亡くなってしまう原因不明の病気です。これは窒息などの事故とは異なるもので、12月以降の冬季に発症しやすい傾向があります。SIDSのリスクを避けるためにも、おくるみをする時は赤ちゃんを仰向けに寝かせるようにしましょう。

また、米国小児科学会はSIDSのリスクを上昇させる要因として「うつ熱」を指摘しています。うつ熱とは、睡眠中の赤ちゃんが着せすぎ・暖めすぎなどによって
高体温になった状態を言います。

おくるみをした状態の赤ちゃんにとって、

  • 衣服の重ね着は適切になっているか
  • 適切な室温が保たれているか

など、赤ちゃんの様子をしっかり確認することが大切です。

赤ちゃんの動きが活発になり、寝返りを打つようになったら、必ずおくるみから手を出してください。動きが活発になった赤ちゃんにとっては、おくるみに包まれた状態が、自然な動きの妨げに。思いがけずうつ伏せや横向き状態になった時に、赤ちゃんが元の姿勢に戻るのが難しくなる可能性もあるため、おくるみはお子さまの成長に合わせて使用しましょう。

 

巻く時の脚の状態

おくるみを巻く時は、赤ちゃんの脚の状態に注意しましょう。「乳児股関節脱臼」の危険性が高まるので、両脚の自由を奪わないことが大切です。

乳児股関節脱臼とは、赤ちゃんの脚のつけ根の関節がはずれる病気です。知らず知らずのうちに発症してしまい、放置すると歩行に影響が出てしまうこともあります。

赤ちゃんの脚の理想的な状態は、M字開脚の形というのはよく耳にしますよね。
まだ関節がやわらかい新生児期にひざが伸び切った状態を続けてしまうと乳児股関節脱臼を起こしかねません。

赤ちゃんをおくるみでくるむときに、ひざを伸ばした状態できつく巻くのは厳禁。仰向けに寝かせた赤ちゃんの脚はひざが軽く曲がった状態になっていますか?その自然な脚の形で、おくるみを巻いてあげましょう。着るタイプのおくるみ(スワドル)では脚の締め付けがないように工夫されているものもあるので、
ぜひチェックしてみてください!

 

おくるみの気になるあれこれ

使った際の効果は?

低月齢期の赤ちゃんの睡眠の悩みは、おくるみを巻くことで解消できることも少なくありません!ここからは、おくるみを使用するメリットをご紹介します。

 

赤ちゃんを安心させられる

おくるみで巻かれた赤ちゃんは、ママの胎内にいた時の姿勢に近い状態になります。生後間もない赤ちゃんはママのお腹の中にいたときのように、腕をギュッと固定してあげることで安心して寝てくれるようになりますよ!

ママの胎内環境を再現するという意味では、「ホワイトノイズ」を併用するのもおすすめです。ホワイトノイズとは、「シャー」というテレビの砂嵐や換気扇のような音のこと。赤ちゃんがママのお腹の中で聴いていた音に似ていることから、赤ちゃんが安心し、質の高い睡眠を促すことができますよ。

 

体温の調節をサポートしてくれる

体温調節をする力が未熟な赤ちゃんにとって、おくるみは体温維持をサポートしてくれるアイテムでもあります。

まだ上手に体温を調整できない赤ちゃんは、気温の変化に敏感に反応し、それによって眠りが妨げられて起きたり泣いたりすることがありますが、おくるみをすることで、赤ちゃんの体温を保ちながら、外気からの影響を受けにくくすることが可能です。

ただし、SIDSリスク軽減の観点からも、くれぐれも

  • きつく巻きすぎること
  • 室温が高すぎる(暖かすぎる)こと

避けるように注意してください。

 

モロー反射の対策になる

赤ちゃんは自分の意思によらず突然ビクッと動いてしまうモロー反射を起こすことがあります。このモロー反射で、赤ちゃん自身がびっくりして泣いて起きてしまうことが、睡眠の妨げになってしまいます。昼寝も夜も成長のためにぐっすり眠ることはとても大切です。おくるみで赤ちゃんをキュッと包んであげることで
モロー反射による”びっくり”を防ぎ、質のよい睡眠がとれるようになります。

抱っこしやすくなる

おくるみを巻くことで赤ちゃんは安心し、落ち着くことができるのでその結果、抱っこしやすくなるというメリットもあります。おくるみをした赤ちゃんに夜中に授乳する際は、おくるみはしたままでOKです。優しく抱き上げて、そのまま授乳しましょう。

 

いつまで必要?

赤ちゃんの動きが活発になり、寝返りをし始める生後3〜4ヶ月頃が手を入れてのおくるみを卒業する目安です。赤ちゃんの様子をよく観察し、発達の状況に合わせて検討しましょう。

一方で、今までおくるみを巻いて寝ていた赤ちゃんにとって、いきなりおくるみがなくなってしまうことは睡眠環境の変化でもあるので、それに驚き、新たな睡眠トラブルの種になってしまうかもしれません。

赤ちゃんに寝返りしそうな兆候が見え始めたら、

  • 片腕ずつ出してあげて半ぐるみの状態にしてあげる
  • そこからさらにスリーパータイプに移行する

といった流れで、徐々におくるみを卒業していくと良いでしょう。

 

まとめ

正しく取り入れることで、パパやママ、保育者にとって寝かしつけの心強い味方になってくれるおくるみ。何より、赤ちゃんが安心してぐっすり眠れる環境が作れることが嬉しいですよね!

赤ちゃんのねんねに関するメリットの多いおくるみですが、赤ちゃんが寝返りをするようになったら、おくるみは卒業するようにしましょう。また、赤ちゃんの体温が上昇しているようだと感じたら、おくるみの中の衣類を調整してあげましょう。赤ちゃんは汗っかきなので、薄い生地のおくるみを使ったり、部屋の温度調節には、必ず注意してください。

必ずしもおくるみを使わなければならないと言うことはありません。使うべきか悩ましい場合や、健診時に股関節の脱臼などの指摘があった場合は、小児科医に相談してみることをおすすめします。

お子さまの健やかな成長を支え、一生の財産になりうる”ぐっすりねんね”の最初のアプローチに、ぜひ上手におくるみを取り入れてみてくださいね!

 

◆この記事の監修者◆

日本人初 乳幼児睡眠コンサルタント
愛波 あや

出産後、自身が長男の夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学を勉強し、日本人で初めて米国International Parenting & Health Instituteの乳幼児睡眠コンサルタント資格を取得。

現在は米国ニューヨークで二人の男の子を育てながら、日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして日本人向けに講演や執筆、出版など幅広く活動。著書に「ママと赤ちゃんのぐっすり本」(講談社、2018年)と「マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方」(主婦の友社、2021年)がある。


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