生まれてすぐの頃と比べ、少しずつ身体がしっかりしてくる生後4ヶ月。授乳量も少しずつ増え、まとまって飲めるようになってきた様子を感じているママパパもいるかもしれません。元々個人差が大きい授乳ですが、日々成長し続ける赤ちゃんにとっての適切な授乳量や授乳間隔を掴むのは、更に難しいと感じているママパパもいるのではないでしょうか。本稿では、前半に母乳・ミルクの割合別に授乳間隔の目安をご紹介し、後半では授乳間隔のよくあるお悩みにお答えします。
目次
生後4ヶ月の授乳間隔の目安
完全母乳(完母)の場合
母乳育児の場合、赤ちゃんの飲むスピードや母乳の分泌量などの要因が個人差となりやすいので、それにより授乳間隔にも幅が出やすい前提でのお話となりますが、以下が一つの目安になります。
間隔:3~5時間程度
回数:1日あたり、5~7回程度
例えば、1日7回を実際のスケジュールに落とし込んでみると、以下のようになるかもしれません。これが、1回の授乳量が多いお子さんなど、日中に十分な栄養が取れている場合は1日の最後の授乳(イラストでは仮に23時台と想定)後、翌午前3時頃の授乳が不要なまま起床まで眠れるお子さんもいるでしょう。
日の出が早くなる春から夏にかけては特に、大人の起床時間と同じ朝6時頃までお子さんに眠っていて欲しい場合は、授乳量のほか、寝室を起床まで真っ暗に保つことがポイントになってきます。一度早朝に起きるクセがついてしまうと、日に日に起床時間が早まり、1日のリズムが崩れてしまってなかなか戻せない!という状況に陥りやすいものです。朝日によって5時頃もしくはそれ以前から寝室が明るくなっているご家庭は、寝室の遮光の強化を検討してみましょう。
母乳とミルク混合の場合
混合授乳の場合は母乳とミルクの割合によって多少差が出るところではありますが、基本的には完全母乳と同等の回数・授乳間隔を目安にすると良いでしょう。
間隔:3~5時間程度
回数:1日あたり、5~7回程度
混合授乳の場合はまず母乳から与え、足りない分をミルクで補うようにしましょう。補う量は母乳の摂取量を見ながら調整するのが理想です。左右の分泌量や1回あたりの母乳摂取量を把握するためには、家庭用のデジタルベビースケール(体重計)があると便利です。ある程度嵩張るものであり、離乳食の割合が増えるにしたがって出番が減ってくることも考えると、レンタルの選択肢を検討するのもよいでしょう。
ベビースケールがなく、実際の授乳量の把握が出来ない場合は、日頃から時間帯別のミルク摂取量を記録し、直近の履歴を参考に追加のミルクを準備するとよいでしょう。一般的に母乳の分泌量は夜にかけて減少する傾向にあるので、授乳タイミングによって追加のミルクの量が変化するのは自然なことと言えます。また、母乳の分泌を促すホルモンであるプロラクチンはママの睡眠時に増加する傾向があるため、夜間の授乳はミルクにしてパパに任せ、ママは睡眠をとるというスタイルは理にかなっています。
完全ミルク(完ミ)の場合
ミルクの場合、生後4ヶ月児の1回あたりの摂取量は200ml前後で、1日の総摂取量は1,000ml程度なので、1日あたりの授乳回数は5回くらい、授乳間隔にすると4~5時間が目安です。母乳育児に比べ、分泌量が少ないゆえに摂取量が少ないという状況は発生しないミルク育児ですが、飲むスピードがゆっくりだったり、一度に飲める量が少なめだったりすると、1日5回の授乳では目安の摂取量を飲みきれないということもあるかもしれません。
飲むスピードがゆっくりというお悩みがある場合は、哺乳瓶や乳首(ニップル)を見直してみるのも一案です。メーカーにもよりますが、生後3ヶ月を境にモデルチェンジが必要なタイプもありますので、お子さんの月齢に合ったものを選ぶようにしましょう。
一方で、同じ月齢でも体重の差や食欲の旺盛さ、1回あたりの授乳量など、赤ちゃんにはそれぞれ個性があるものです。お子さんがご機嫌に過ごせていて、成長曲線に沿って順調に体重が増加しているようであれば、目安の授乳量や授乳回数と多少の差があっても過度な心配は不要なことがほとんどです。一方で、急に飲む量が減ってきている、体重が増えていない(減っている)等、お子さんの様子から心配事がある場合は、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。
授乳間隔に関するよくある悩み
個人差が大きい部分ゆえに、目安として見かける値と違ったり、これまでと違う傾向がみられると心配になってしまうものです。本章では授乳間隔の変化があった場合の捉え方をお伝えします。
短くなったときはどうすればいい?
せっかく授乳間隔が少し伸びて来たかと思った時に、また短くなってしまうと、ママパパとしては正直大変ですよね。ただ、赤ちゃんは日々成長しているので、今日は昨日よりも沢山栄養を必要としている、ということは起こり得ます。実際に赤ちゃんの飲む量が増えているようであれば、1回あたりのミルクの量を少し増やしたり、母乳・混合育児であれば頻回授乳で分泌を促したりしながら、少し様子を見ましょう。
ただし、赤ちゃんの機嫌が悪かったり、以前より泣くことが増えたことを授乳のサインと解釈している場合は、授乳以外のところに本当の欲求や不快要素が隠れているケースも考えられます。以下のコラムなどを参考に、原因を探ってみましょう。
長くなったときはどうすればいい?
月齢と共に授乳間隔が長くなるのは、自然なことと言えるので、心配ないケースがほとんどでしょう。母乳や混合育児の場合は赤ちゃんの飲み方が上手になったことに加え、ママの母乳の分泌量が安定してきたことも考えられますし、ミルク育児の場合でも飲む力が強くなったことで、より効率よくミルクが飲めるようになってきたとも考えられます。また、日中十分な栄養を摂取できると、夜間まとまって眠れる力がついて来て、夜間の授乳間隔は日中と比較しても長くなりやすいため、変化を感じやすいこともあるでしょう。
授乳間隔のみならず、授乳量や体重の増加、排泄などが順調であれば総じて問題ないことがほとんどです。一方で、相対的に授乳量が減ってしまっていたり、その影響で体重が減って来ている兆候がある場合は、一度かかりつけの小児科医に相談してみましょう。
定まらないときはどうすればいい?
生後4ヶ月は1日のスケジュールが決まってくる時期などと表現されることも多く、その過程で授乳をする時間帯もある程度安定してくるだろうという期待を持っているママパパも多いでしょう。一般的に、生後3ヶ月後半から徐々に昼夜の区別がつき始め、これが夜眠り、日中は活動するというリズムを刻む体内時計の発達の元となっています。ただ、他の発達同様、発達スピードには個人差があるため、生後4ヶ月になったからといってすべての赤ちゃんの1日のスケジュールが定まるわけではありません。
また、この時期の赤ちゃんは引き続き急成長の過程にあることから、一時的にこれまでできていたことができなくなったり、スケジュールが乱れたりすることもあります。昨日と違うことが起きると不安になるものですが、焦らずまずは赤ちゃんの様子をよく観察し、寄り添ってみましょう。また、先の「短くなったときはどうすればいい?」でもお伝えしましたが、赤ちゃんの泣きを授乳のサインだと受け取っている場合は、泣きの理由が授乳ではないかもしれないという視点を持ちながら対応してみると、別の理由が見つかることもあるかもしれません。
授乳と夜泣きは関係がある?
授乳もねんねも両方うまくいっていない…というケースは珍しくないかと思います。「授乳と夜泣きは関係がありますか?」という質問に対する答えは「Yes」でもあり、「No」でもあります。というのも、授乳と睡眠は互いに影響し合う部分があるものの、例えば授乳トラブルそのものが夜泣きの原因ということはどちらかというと珍しく、原因はもっと複合的であることがほとんどだからです。
とはいえ夜泣きを誘発してしまう授乳の仕方も確かにあり、入眠と授乳を関連付けてしまうことがその代表例です。授乳したまま寝落ちしている、授乳で寝かしつけている、といった習慣がある場合は授乳しながらの寝かしつけはNG?の投稿を参考に、今のうちに授乳とねんねを切り離すことでお子さんもママパパもぐっすり眠れるようになるでしょう。より包括的にねんねを整えたい方は、4~5ヶ月、ぐっすり眠れる過ごし方の投稿も参考にしてください。
まとめ
本稿では、生後4ヶ月の赤ちゃんの授乳間隔の目安、授乳間隔に関連したお悩み、そして授乳と夜泣きの関係についてお伝えしてきました。授乳間隔の目安は母乳とミルクの割合や赤ちゃんそれぞれの個性で幅がありますが、3~5時間程度と考えておくとよいでしょう。
一般的には授乳間隔が長くなってくる月齢ではあるものの、まだ安定せず、足りない分を頻回授乳で補いながら調整することも起こり得ます。ただし、赤ちゃんの泣きを授乳のサインと解釈している場合は、授乳以外のところに本当の欲求や不快要素が隠れている可能性が考えられることも覚えておきましょう。
授乳と夜泣きは絶対的な関連性があるケースばかりではありませんが、授乳したまま寝落ちしている、授乳で寝かしつけている、といった習慣がある場合は、授乳とねんねを切り離すことでねんねトラブルが解消することもありますので、是非試してみてくださいね。
◆この記事の監修者◆
日本人初 乳幼児睡眠コンサルタント
愛波 あや
出産後、自身が長男の夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学を勉強し、日本人で初めて米国International Parenting & Health Instituteの乳幼児睡眠コンサルタント資格を取得。
現在は米国ニューヨークで二人の男の子を育てながら、日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして日本人向けに講演や執筆、出版など幅広く活動。著書に「ママと赤ちゃんのぐっすり本」(講談社、2018年)と「マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方」(主婦の友社、2021年)がある。
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